ヒト以外の動物を対象とした研究におけるセックスの定義
- セックスは、オス、メス、雌雄同体に区別される生物学的な性別である。
セックスは、次のように定義される。
- 1.遺伝的性決定:染色体構成。例えば、メス/オスの組み合わせで、XX/XY、ZW/ZZ(鳥類と一部の昆虫類)、XX/XO(昆虫類)など。核型にかかわらず、性決定遺伝子が存在するということは、細胞核を有するすべての細胞が性別を有することを意味する。
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2.非遺伝的性決定:多くの種でみられる(Gilbert, 2010)。多種多様であり、次のような例がある。
- a. 社会的性決定: 多くの魚類、軟体動物などでは、集団の他の構成員との社会的相互作用によってセックスが決定される。ネコゼフネガイ(Crepidula fornicata)では、若い個体はすべてオスであるが、個体同士が重なり合った状態のどこにいるかによって、後からメスに変化する個体もある。
- b. b.環境的性決定:ユムシ動物であるボネリムシ(Bonellia viridis)では、セックスは物理的環境で決定される。海底に着底した幼虫はメス(最大体長10cm)に成長する。一方、成熟したメスの口吻より飲み込まれた幼虫はオス(最大体長2mm)に発達し、共生する。すべてのワニ類、ほとんどのカメ類、その他の一部の爬虫類では、性別は温度の影響を受けたり、温度によって決まったりする。種によっては、特定の温度範囲内では遺伝子によって性別が決まり、その範囲外の温度では環境により性別が決まる。
- a. 社会的性決定: 多くの魚類、軟体動物などでは、集団の他の構成員との社会的相互作用によってセックスが決定される。ネコゼフネガイ(Crepidula fornicata)では、若い個体はすべてオスであるが、個体同士が重なり合った状態のどこにいるかによって、後からメスに変化する個体もある。
- 3.配偶子:生殖細胞。形態的に異なる2種類の配偶子を生じる種では、卵と精子のどちらを生成するかの違いが女性と男性(メスとオス)を識別する根拠になる。種によっては、個体が作り出す生殖細胞の種類が、成長段階で変化する(連続雌雄同体[sequential hermaphrodite]と呼ばれる)。
工学とデザインにおけるセックスの定義:
また、女性間、男性間、多様な性の人々のグループ内に存在する違いを理解することも重要である。多くの生理記録アプリは、生理周期が不規則なユーザーには役に立たない(Tiffany, 2018)。
工学と製品デザインに関する研究では、セックスには、製品、システム、工程の設計に影響を与える可能性のある解剖学的特性と生理学的特性が含まれる。多くの装置や機械は、男性の身体に適合するように設計されている。例えば、軍用および商用の飛行機の操縦席は、従来、男性の身体測定値に基づいて設計されているため、女性(そして小柄な男性)がパイロットになることは困難であり、危険でもあった(Weber, 1997)。衝突試験用ダミーも男性を基準としている。女性の代わりとなる小さなダミーが使われてはいるが、首の強度の違いなどはダミーの型に反映されていない(「ケーススタディ」セクションの「包括的な衝突試験用ダミー」、 Linder & Svedberg, 2019を参照)。 男性の代謝率に基づいてオフィスビルの空調の温度を設定すると、多くの女性にとっては温度が低すぎる可能性がある(van Hoof, 2015)。職場の安全装備(警察の防弾チョッキなど)は、女性や小柄な人には大きすぎることが多い。
参考文献