都市計画と設計に関するチェックリスト

このチェックリストは、都市計画と設計にセックス/ジェンダー分析を組み込もうとしたときの、計画者、設計者、研究者、プロジェクトマネージャー、行政機関の職員、および計画に携わる組織のためのものである。計画プロセスの各段階における主要な質問事項と推奨事項を示す。

このチェックリストは、以下の各項目で示されているように、ジェンダード・イノベーションの方法論と組み合わせて使用するように考案されている。このチェックリストに関連するケーススタディは次のものである:「住宅と街並みの設計」、「良質な都市空間」、「スマートモビリティ」。

計画プロセスに関する推奨事項

基本的な知識とデータ収集

  • 1. セックス別のデータとジェンダー、社会経済的状況、およびその他の指標は、国際比較が可能で、統計の一貫性と継続性を確保するような方法で収集されているか?「方法論」セクションの「セックスの分析」、「ジェンダーの分析」、「 セックスとジェンダーの相互作用の分析」、「交差アプローチ」を参照。
  • 2. データ収集、データの提示方法、方法論、基本的な考え方に、無意識のうちに社会文化的な前提が組み込まれていないか?「方法論」セクションの 「概念と理論の再考」、「言語と視覚表現の再考」を参照。特に「ケーススタディ」セクションの 「スマートモビリティ」を参照。
  • 3. 相互補完的な統計的および定性的調査手法が研究デザインに統合されているか?調査手法は、女性、男性、多様な性、民族、そして関連する社会経済的状況の人々や多様な年齢層の人々の平等な参加を促すものでなくてはならない。
  • 4. 研究チームは、セックス、ジェンダー、インターセクショナリティの特質や都市計画の複雑性に対処するために、十分に学際的か?
  • 5. プロジェクトで使用されている言語と図像は包摂的で、ジェンダーに配慮しているか?「方法論」セクションの「言語と視覚表現の再考」を参照。

計画プロセスへの参加

  • 6. 計画プロセスへの参加にジェンダーやその他の社会文化的視点を組み込むための適切な措置を講じているか?計画の初期・中間段階からプロジェクトの実施に至るまで、行政、民間部門、非営利団体、市民間の対話の仕組みを構築したか?「参加型リサーチとデザイン」を参照。
  • 7. 一般市民の出席が奨励されている会議では、子どもやお年寄りのケアサービスが利用できるか?会議の時間と場所は、仕事とケアの両方のスケジュールを考慮しているか?従来参加に消極的だったグループにとって、自分たちのニーズや関心をはっきり言えるような開かれたプロセスになっているか?
  • 8. 都市開発とマネージメントにおける平等に関し、多様な人々が意思決定に参加するよう呼び掛けたり、認識を高めたりする働きかけをしたか?
  • 9. 使用されている言語は、あらゆる教育レベル、年齢、社会経済的状況、障害のある人々対して適切か?「方法論」セクションの「交差アプローチ」を参照。

予算と財政問題

  • 10. 長期・短期のプロジェクトや計画目標において、ジェンダーやその他の社会文化的な課題が考慮されているか?
  • 11. 投資は持続可能な目標と関連づけられているか?

政府間の連携

  • 12. 政策、計画、プロジェクトは、公共サービス、保健、高齢化、交通、移住などの公共政策を考慮しているか?

評価とモニタリング

  • 13. プロジェクトには、戦略的な、環境、経済、社会、ジェンダーへの影響評価が含まれているか?

計画の特定分野に関する推奨事項

近接性と多目的利用

  • - 地域全体から近隣レベルまで、あらゆる規模で多目的利用開発を促進する。
  • - 人が集まる市街地のノード(結節点:駅や広場など)と医療関連施設(病院など)が交通システムと連動するようにする。
  • - 医療、教育、スポーツ、レジャー、ショッピングなど、日常活動をサポートする施設が近隣地域に十分に提供されるようにする。
  • - 子どもと高齢者のケアのためのさまざまな特定施設を開発する。
  • - 住宅地からアクセスしやすい場所での雇用の選択肢を増やす。
  • - 必要不可欠なサービスが職場の近くに統合されているようにする。

交通

  • - 利用者が仕事、家事、ケアを両立できるようにするために、通勤途中で用事をすませることや通勤パターンを考慮した公共交通インフラとルートを再定義する。「ケーススタディ」セクションの「スマートモビリティ」参照。
  • - セックスとジェンダーを人間工学と安全性との関係で分析し、車両、路線、駅、およびそれらにつながる歩行者通路を設計する。「方法論」セクションの「標準モデルと参照モデルの再考」参照。
  • - 女性、多様な性の人々、若者、高齢者、障害者、その他のグループのそれぞれのニーズに合った輸送サービスを開発する。

公共空間と安全性

  • - トロントとモントリオールで開発されたジェンダーに配慮した手法を用いて、公共空間の設計と維持管理における利用者のさまざまな安全ニーズに対する具体的対策をモニター、計画、実施する。

住宅

  • - 新しい住宅のタイプとその周辺の公共空間のパイロットプロジェクトを検討する。住宅設計は、働く親や高齢者のニーズに対応し、共用施設を統合するとともに、フレキシブルで用途が限定されない空間を提供する必要がある。
  • - 住宅のタイプ、保有形態、価格などの多様性を確保する。

教育、保健、商業、レジャー、その他の施設

  • - コミュニティ施設の設計にあたっては、家族のケアに関する利用者のニーズや要望、高齢者やさまざまな身体機能の人々の特別なニーズを考慮する。

参考文献

Adapted from Sánchez de Madariaga, I. (2004). Urbanismo con Perspectiva de Género. Sevilla: Fondo Social Europeo – Junta de Andalucía.

 

 

 

 

 

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